株式会社クオリティ・アンド・バリュー

今日もココロをストレッチ

2022年8月〜から1年間、秋田魁新報等の新聞で連載されていたコラム「今日もココロをストレッチ」を一部加筆修正して掲載します。

2024/03/26

終わりは始まり~「未完了」を「完了」して前に進もう

子供の頃に読んだ童話はたいていハッピーエンドです。お姫様と王子様が出会い幾多の障害を乗り越えて結ばれる。めでたし、めでたし…。

けれども現実はそれほど甘くない。実らない恋や片思いの恋で終わる方が多いかもしれません。
告げられなかった言葉や遂げられなかった思いは心の中に残り続けます。
切ないですね…

さて、思いが残るのは恋愛だけではありません。
途中で辞めた部活や習い事、打ち切りになった仕事など、エンディングを迎えられなかった出来事への思いは「未完了」として心の中で不完全燃焼し続け、マイナスの影響を与えます。

ある男性の話です。途中棄権してゴールできなかったフルマラソン大会の悔しさが10年以上残っていました。それ以来、「途中で諦めた自分」が許せず自分自身への信頼が揺らぎ、なにかにつけてそれを思い出して次に進めない感覚があったそうです。
そこで彼はもう一度、とにかくやり切ることを目標に10キロマラソンにチャレンジしました。
ここで大事なのはフルマラソンにこだわることではなく、今できる範囲で自分が納得する「完了」の方法を見つけることです。10キロを見事走り切り、その男性は「目標を達成した感覚」で満たされました。
これまでの不完全燃焼はふっきれた、と笑顔で話してくれたことを思い出します。

止むを得ず途中で終わってしまった「未完了」のできごとは誰にでもあり、残念ながら過去を取り戻すことは出来ません。
けれども、思いが残っていたり、引きずっているのならば自分なりの「完了」の方法ですっきりさせて次に進みましょう。
大事なのは自分の納得感です。

折しも季節は春。
日本では学生も社会人も「終わり」を迎える時期です。
自分の物語は自分なりの方法でハッピーエンドにすることができる、と知っていてください。
 

2024/02/13

「書く」ことでスッキリ、アタマとココロを整理する「ジャーナリング」

思うに、大人の毎日は問題解決の連続です。
仕事の案件も家族のごはんづくりも、向き合ってこたえを出していくこと。
考えたり、悩んだすることは日々のルーティンとも言えますね。
さてそんなとき、どうやって問題を解決していますか。

「人に相談する」
それももちろんいいですよね。
話すことで気持ちが楽になるし、
聴いてもらえることって安心です。
人からもらうアドバイスは自分では考えなかったような視点に
気付かされることも多いです。

でも、そもそも悩んでいることを人には言わない、言えない
なんていう人もいます。
自分で解決したい、迷惑かけたくない、きっかけがない、
そこには大人ならではのいろいろな理由と想いがある、
それもわかる。

けれども、
ひとりで考え込んだり、抱え込む前に
自分で何とかできる方法があったとしたら
やってみる価値はありますよね。

1人で出来る解決方法。
それは「書く」ことです。
頭の中でグルグル考えていること、
悩んで答えを出したいこと、
モヤモヤした重たい気分も含めて、
とにかく紙に全部吐き出すつもりで
とにかく一気に書きだすと答えが見えてくることが多いです。

字を間違えても、
文章が繋がらなくても
ぜんぜん気にしなくていいです。
頭の中をカラッポにするつもりで思いつくままにペンを走らせる。

不思議なことに書き出すと
誰かに話したみたいに気分がスッキリする。
そして、さらには悩んでいたことが客観的に見えてきて
自分でどうにかなったりもします。

「書くこと」
それは頭の中を「見える化」する方法です。
ビジネスの世界では問題解決手法のひとつとして
昔から活用されていました。
例えば古くは話し合いのときにホワイトボードに板書する、
または話のプロセスを絵にするグラフィックレコーディングなど、
さまざまな「見える化」の方法が考えられてきました。
どれもみんなの考えていることを文字や絵にして「見える化」したものです。

心理学の分野で活用されている「見える化」は
考えていることや悩みを「書き出す」。
これは「ジャーナリング」と名付けられています。
エビデンスのある対処方法としてセラピーにも活用されています。

ビジネス分野でも心理学でも同様ですが、
書き出すことでものごとを客観的に捉えられる効果があります。
「ジャーナリング」では集中して書き出す行為自体が瞑想状態へと導いてくれて
脳をすっきりさせる効果もあるようです。

最近は若い方から「携帯に打ち込んてもいい?」
という質問を受けることも多いのですが
個人的には、
アナログにペンと紙の方がいいような気がします。
頭の中から出てくる言葉を携帯では追いきれないし、
(若い方は違うかも?)
書いたことと自分との距離間を感じます。

ためしに、ペンと紙で書いてみてください。
時間を決めて最初は10分くらいとしましょうか。

集中して書き出すことで問題解決、やってみてください。
 

第8話

「なぜあの人とは合わないのか」〜アプローチ編

人はそれぞれに五感の使い方にクセがあり、「この人とは合う」「あの人とは合わない」とコミュニケーションの感覚の違いを引き起こしやすい、というお話が前回のこと。この五感のクセには3種類あって、ビジュアルを頭に描いて考える視覚タイプ、文字情報による論理思考が特徴なのは聴覚タイプ、そして体に感じる感覚から言葉を探す体感覚タイプに分かれる。それぞれに異なる思考・コミュニケーションの方法があるので自分と同じタイプは「わかる・合う」のですが異なるタイプは「なに言ってるの。よくわからん」となりやすい。

理由は分かったけど現実的にはどうしたらいいか。
結論から言えば、すぐに相手のいうことがわかる、ばっちり合う、というような魔法の方法はありません。
なにかしら、“特効薬”を期待していた方がいたらごめんなさい…
残念ながら、なんの苦もなく努力なく、すぐに付き合いづらい相手とうまくいくようになる、なんてことありません。
ただし、ひとつの方法として相手のタイプと合わせていく方法はあります。

まずは「苦手だな」と思う気持ちをちょっと横に置いて、相手をよく知ろう、と観察することからスタートです。
相手が誰かと話している時のジェスチャーや姿勢を遠目から観察してみる。遠目からだったら冷静によく観察できますよね。
直接話すときにはちょっとチャレンジになりますが、目線の動きや声の抑揚や話す速さなど、よく観てみる。

すぐにはわからないかもしれませんが、よ〜く見ていると特徴がとらえられるようになります。「わりと腕組みが多い」、「目線が下によく行くみたい」とか、その人のコミュニケーションの特徴がわかるようになってきます。
そこで「この人、○○タイプかな」と推論を立て、タイプに合わせてコミュニケーションをとってみます。

さぁ、いよいよ実践です。

視覚タイプであれば目線が上に行くことが多い、これは頭の中でビジュアルを観ながら話していることが多いのですが、そのビジュアルを話してもらって自分も共有します。
聴覚タイプは話が手順を追ってきっちり話す方が多いので、文字にして確認しながら詳細に聞かせてもらうこともあります。
体感覚タイプならば、少しゆったりとペースを合わせて「どんな感じがしますか?」と感覚的な話をしてみます。

歩調を合わせるつもりでこちらのアプローチを変えてみる。
ある程度の訓練は必要ですが、相手に合わせたアプローチができるようになると、少しずつ相手を理解できるようになると思います。

この方法は仕事にも使えるものです。
私は仕事の場で相手が視覚だなと判断したら、例えば資料づくりには「文字少な目、絵や写真などのビジュアル多め」で作成します。
聴覚であれば逆です。文章で説明し、論理構成や誤字脱字にも気を配ります。
体感覚の場合は、なるべく実際にやってみましょう、と実践に持って行くようにします。
相手に合わせたアプローチをすることで相手の「わかった感」を高める、これはお互いのwin-winになります。

私もそうなんですが苦手だな、と思う人とは距離を置いてしまいがちで、コミュニケーションが途絶えてしまうことも多い。

でもそれはもったいない。

相手を好きになる必要はありません。
けれども「イヤだ」「苦手」という感情をちょっと横に置いて、相手を“研究対象”として観てみると、案外興味深い人として理解できるようになります。
感情に振り回されずに客観的に相手を観れるようになると、自分が楽に付き合える距離を取りながら必要なコミュニケーションができるようになります。
「苦手だ」と思う人が多いと、日常に困難を感じやすくなります。なるべく苦手な人を減らしていくこともできるのだと知っていると気持ちが楽になるのではないでしょうか。

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